チューナーの罠

音楽をする上で、体のどの部分を鍛えたらいいのか?という話になった時、
楽器によって違いはあると思いますが、共通しているのは“耳で聴く”という
行為だと感じます
そこで、今回も“耳で聴く”という行為について書こうと思います。
今回テーマに挙げるのは『チューナー』です。
ピアノやキーボードをされている方にとってはあまり馴染みがないと思いますが、
管楽器や弦楽器をされている方は、自分のチューナーを持っているという方が
少なくないのではないでしょうか?
『チューナー』というのは、自分の出した音が基準とされる音とどれだけ
ずれているか、ちゃんと合っているか、を確認し調律するための道具です。
ギタリストやベーシストの場合、開放弦の音で確認しますね
この『チューナー』というヤツが、あなたの耳を鈍くさせている可能性があるのです
・・・あまりこういった脅し文句は好きではないのですが、私が高校の時に経験した
事を参考にすると、少なくとも『可能性がある』という部分は否定できません。
もともとは音が正しいかを確認するための道具なのに、そのせいで耳が鈍くなる
というのは滑稽な話です
そもそも正しい音とは何なのか。
まず“A(ラ)”の音を440Hzとすると、そこからオクターヴ12音が導き出されます。
それらの音を基準としたとき、自分の出す音が合っているかどうか・・・
ズレていれば違う音、全く同じ音なら正しい音、・・・こういう事になります。
そして『鈍くなる』というのは、この自分の出している音がズレているかどうかが
分かりにくくなってしまう、という事なんですね。
最初のうちは、自分の出している音が合っているかどうか、つまり『音痴』に
なっていないかどうかを耳で確認しようとします。
しかし、チューナーを使って音を合わせるという行為を繰り返しているうちに、
耳ではなく、メーターや針が触れる様子を見て、目で合わせるクセが付いて
しまう人がいます。これがチューナーの罠なんです。
当たり前の話ですが、音は耳で合わせるモノです。
誰か別の人が出した音に対して、それと合う音、または同じ音を出して
音を重ねていくのが音楽であり、正しい音程の音を出すことが音楽ではありません。
『正しい音』の基準である“A(ラ)”の音を440Hzとする、という話ですが、
そのオクターヴ上の“A(ラ)”の音は880Hzになり、その間には一体いくつの音が
存在するのでしょうか?441Hz、442Hz・・・と分けていくと、途方もない数です。
とても12音では片付けられません。(かなり極端な話ですが・・・
そんな中で分けられた『正しい音』を判断するチューナーに、絶対的な信頼を
よせるのはいかがなモノか?というのが私の思いです。
チューナーでキッチリと正しい音を整えても、それが他のパートの楽器が出す音と
微妙にズレていては、結局なんの意味もなくなってしまうし、
後から「君、音ズレてたよ。」と言われて「いや、僕はチューナーで合わせてたから
そっちが違ってたんじゃない?」と言い返したトコロで、
演奏中にそれを自分で判断できなかったというのは、耳が鈍くなっているという事
ではないでしょうか?
チューナーはあくまで目安。
「俺はちゅ〜な〜などという西洋の兵器には頼らん!」とか
「ボク、チューナーがないと音が分からないッス」とか、極端にならず、
付かず離れずに付き合っていく、これが一番いいように思います。
大体の部分まではチューナーで合わせる、そして最後はやはり自分の耳。
自分の出した音がまわりとどのように混ざり合っているのか?
これが大切な事であり、音程が正しいかどうかはその中で判断されるモノです。
周りの音をよく聴く、誰しもが持っているハズのこの感覚を
チューナーで失って欲しくないなぁ、と思います
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