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         「ピンポ〜ン」で相対音感



 相対音感という言葉(能力)というものをご存知でしょうか?
その言葉通り、相対的に・・・つまり
“ド”の音を聞いて“ソ”の音を導いたりする事ができる音の感覚です。

 それに対して絶対音感と呼ばれるものがあり、多くの方がこの『絶対音感』を
身に付けないと音楽家として一流になれないとか、絶対音感のある人はスゴイ!
という印象を持っているようですが、実は私は全くこのように思いません

 絶対音感というのはまさにその言葉通り、絶対的な音の感覚という意味です。

つまり、他に比べる音が何も無い状態でも、いきなり正確な音の高さが
判断できる能力です。

 一見、すごい能力のように感じてしまいますが、
この能力は演奏する上であまり必要な能力ではないのです。

 なぜなら、演奏と言うのは多くの場合2人以上でする事が多く、
他の演奏者と『合わせる』必要があるからです


 例えば共演者が“ド”の音を出し、それに対して自分が“ソ”の音を出し、
“ド”と“ソ”のハーモニーを作る場面があったとします。

 共演者の音が正確な“ド”であるかどうかは、絶対音感の持ち主なら
即座に判断できるでしょう。

 しかしそれに対して、一番キレイに響かせる事のできる“ソ”の高さは、
絶対音感だけでは分かりません。

 自分の中では正確な“ソ”の音であっても、相手に合わせなければ
美しいハーモニーを奏でる事はできないからです

 それを判断できるのが『相対音感』です。

 ある一つの音が鳴れば、それに対して他の音を導き出せる・・・
つまり、音程の幅を正確に認識できるという事です

 “ド”に対して“ソ”の音がどれくらいの高さなのか、
というその音程の幅が分かっているので、例え毎回毎回“ド”の音が微妙に
ズレたとしても、それに対しての“ソ”の音を再調整する事ができます。


 音楽と言うのは、「合わせる」事でそのサウンドのエネルギーが
何倍もの大きさになって響きます。

 美しいハーモニーを奏でるためには、絶対的な音程の認識ができる能力よりも、
相対的に音程の認識ができる能力の方が重要なのです


 なぜなら人間の精神、心のコンディションは、毎度毎度『絶対的』な状態では
ないし、肉体は全ての人が全く同じく『絶対的』に作られていないからです


 体や心の状態に大きく左右されて音は変化します。

 機械の様に正確無比である事を求められる事があったり、
自分もまたそれを自分自身に求める事は、ミュージシャンにとって必要な事です。
しかし人は機械ではないのです。


 この『相対音感』は、トレーニングによって身に付きます。
と言うより、もともと人間に備わっている能力です。

 呼び鈴の「ピンポ〜ン」という音、「ピン」と「ポ〜ン」とどちらが高いかの判断は
できるでしょう?

 それをより正確に、どれだけ離れているかを判断できるようにすれば良いのです。
ちなみにウチの「ピン」と「ポ〜ン」は、“ソ#”、“ミ〜”でした。

 もしも“ソ#”の音だけを聞いて“ミ”の音をイメージする事ができたなら、
ゆくゆくは“ミ”の音を聞いて“ド”、“シ”の音を聞いて“ソ”の音が
導けるようになります。

 理由は、上に挙げたそれぞれ2組の音は『長3度』という同じ音程の幅を持つ
音の関係だからです


 これが『相対音感』の成せる業なんですね。





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