今日は、朝一番に西城さんに話しかけられた。
普通にビビった。マジで謎なんだが。
西城さん「翔くん!おはよう!」
『え!?あ、さ、西城さん…おはよう…』
背後から思いっきり挨拶された。
西城さん「驚き過ぎだよー」
『ご、ごめん、ボーっとしてたから』
西城さん「あはは。翔くん、吹奏楽部に入ったんだね!」
『あ、うん。橋本に半ば強引に誘われて…っていうか』
西城さん「そっかー。でも翔くん昔から音楽できるし、ピッタリの部活じゃない?」
『え!?あ、うん、まぁ…』
もうツッコミどころ満載だ。
昔から音楽ができるって、なんで!?
なんで知ってんの!?怖いんだけど!?
小学校時代、同じクラスになったことは一度もない。
中学校は、そもそも俺は私立の男子校。
今朝の会話が、西城さんとの初めての会話なんだが!?
西城さん「あ、それとさ、今度テストあるでしょ?」
『数学の小テスト?』
西城さん「そうそう。それでちょっと分からない所があってさ…翔くんに教えてもらえたらなって思ってるんだけど…」
『はい?オレに?』
西城さん「翔くん、数学得意じゃん」
『いやいやいやいや、西城さんの方が頭良いでしょ!』
西城さん「そうでもないよ。良かったらって思ったんだけど」
『いや…うん、お、オレは良いけど…』
西城さん「ほんと!?それじゃ、お昼休みに図書室で良い?」
『うん…』
西城さん「やったね!約束だよ!」
『うん…』
そんなこんなで、昼休みに図書室へ行った。
緊張しすぎて、昼飯は何も食べられなかった。
少し経ってから西城さんが図書室に来て、「ごめんね、待った?」と聞かれて…
それ以降は、あまり記憶がない。
というのも、近かった。
隣に座って教えていたんだが、椅子をわざわざ寄せてきて、ほぼ半身が密着状態だった。
そのため、あまり記憶がない。
なんか良い匂いがした。
昼休みが終わって、そのまま二人で教室に戻る形になってしまったのだが、
それを見た橋本が、すごい形相で俺を見てきた…。
当然のように、帰り道で怒涛の質問攻めに遭った。
橋本「翔…おれは信じていた。」
『…』
橋本「お前は…お前は、黙って勝手に彼女を作るような男じゃないと、信じていたのに!!!!」
『ちょ…!!待て!!』
橋本「なにを待てってんだ!!お前、よりによってあの西城さんと二人きりで…!!どこに行って何をしていたぁぁぁぁぁ!!!」
『ま、待てって!落ち着け!』
橋本「落ち着けるかぁぁぁーーー!!!西城さんに告白したのか!?西城さんからコクるなんて有り得ないから、お前からイッたんだな!?お前からイッたんだろ!?で!?で!?で!?どうなったぁぁぁーーーー!?」
『違う!違うって!』
橋本「お前…!友達だと思っていたのにーーー!!!!」
この後、大変だった。
とりあえず落ち着かせて、ありのままに全てを話した。
まず、西城さんがなんでオレの名前を知っていたのかも分からない事。
名前だけではなく、音楽をやっていることまで知っていた事。
そして、数学を教えて欲しいと言われて、図書室で教えていた事――
橋本「そりゃ、お前の記憶がぶっ飛んでるだけだろ!」
『違うんだって。オレが小学校に転校してきたのは2年の頃で、一度も同じクラスになってないんだよ!』
橋本「…そう言えば、西城さんが俺たちの小学校に転校してきたのって、5年生の時だったよな」
『そ、そうなのか?』
橋本「そうだよ。で、6年の頃は俺とお前と同じクラスだったし、西城さんは違うクラスだったよな」
『ああ、それでお前が、西城さんを見に行こうとか言い出したんだよ』
橋本「覚えてるわ(笑)じゃ、5年の時は?」
『違うクラスだったと思う。というか転校してきたのが5年ってのも、初めて知った。』
橋本「そうか…で、お前は私立の中学行ったもんな。じゃ、本当に接点がないのか・・・」
『そうなんだよ。ちょっと怖いくらいなんだよな』
橋本「なーにが怖いんだよ!!あんな超絶美人巨乳に名前も趣味も覚えてもらってて、最高だろうが!!!」
『クソ野郎発言が絶えんな…』
橋本「図書室でホントに数学を教えてたのかぁ~~!?πの計算とか教えてたんじゃないだろうなぁ!?」
『何言ってんだよ…』
橋本「ああ~~~あ!!良いよな良いよなぁぁぁ~~!!俺も数学、勉強しようかなぁーーー!!」
『・・・これって、直接聞いた方が良いのかな』
橋本「・・・いや、止めといた方がいいんじゃねぇか」
『な、なんで?』
橋本「西城さんだって、お前と接点なかったことくらい知ってんだろ。その上で、そういう行動を取ってんだよ。それって、なんか言えない理由があるからじゃねぇの?」
『そ、そうか…確かに…』
橋本「あるいは・・お前に気が付いて欲しい事があるのかもな」
『気が付いて欲しい事?なんだよ、それ』
橋本「んなこと知るかよ!!ああ~、いいなぁ!お前の周りは巨乳美人にミニスカ美人先輩に、一体どうなってんだよぉぉぉ~~!!!!」
『・・・』
とりあえず今日はここまでにしよう。考えても仕方がない気がする。
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