何だかんだでブラスバンド部に入ることになってしまった。
橋本が「お前、ピアノ弾けただろ?一緒にブラスバンド部に入ろうぜ!」
と言い出したのだ。
『弾けるけど、なんでブラスバンド部?』
橋本「俺、中学でブラバン入って、トランペットやってたんだよ」
『マジか、そうだったんだな』
橋本「お前も一緒に入ろうぜ!!な?なっ?」
そんな感じでブラスバンド部の体験に引きずられていった。
実は中学の頃、おれ自身もブラスバンド部に入ろうとして諦めたことがあった。
小学校の頃からバンドに憧れていて、それを母に話したら「中学にはブラスバンド部というのがある」
と教えてもらい、中学に行ったらブラスバンド部に入ろうと思っていたんだ。
それはまぁ、また別の機会に書こう。
橋本の言う通り、ピアノは4、5歳くらいから始めて、中学1年まで習っていた。
小5の頃に「コード進行」ってヤツに目覚めて、めっちゃ独学で勉強したなぁ。
作曲や即興演奏なんかも、勉強するようになった。
綺麗なコード進行がとにかく好きで、
小学校の音楽室で昼休みに弾いたりして、コード進行や音楽理論を勉強していた。
まぁ、我ながら変わった小学生だったと思う。
その時に、橋本にはピアノが弾けることを話したような気もする。
それを覚えていてくれたのだろう。
中学校では訳あってブラスバンド部を諦めたが、
橋本のしつこい誘いに負けて、とりあえず体験入部という形で行ってみることにした。
最初に吹いてみたのはトランペット。…音が出なかった。
次にチューバ。ラッパを大きくしたような低音楽器だ。
…微妙に音が出た。パスパスいってたけど…。
最後にサックス。
サックスは前々から興味があったから、もしブラスバンド部に入るならサックスかなぁ…。
割とすぐに音が出た。指使いはほぼリコーダーと一緒だと先輩に教えてもらい、
ドレミファソラシドと、スケールみたいな感じもできた。
それがちょっと嬉しくなってしまい、この時点で「入部するならサックスだな」と思っていた。
サックスの体験を終えた時、一人の女子と目が合った。
後から知ったのだが、同じクラスの高宮彩音(タカミヤ アヤネ)という女子らしい。
なんかこっちをジッと見ていて、怖かった。なんなんだろうか…。
後日、改めて正式に入部届を出して、ブラスバンド部に入ることにした。
橋本からは
「マジでサンキューな!お前がいなきゃ、1年の男子部員が俺一人になるところだったよ!」
と感謝された。
『男子部員が1人だったら、なんかマズイのか?』
橋本「マズイなんてもんじゃねぇ!大変な事になる!」
『?』
橋本「部長と学生指揮の兼任!大型楽器の移動などの力仕事の全て!そして、文化祭などのイベントでイロモノ担当!」
『それくらい普通じゃないか?』
橋本「お前はやった事ないから言えるんだよ!!女子社会の中で男子一人が、どんだけ大変か!!」
『そ、そうなんだな…なんかスマン』
橋本「どの道、男子部員は俺と翔の二人だ。一緒にガンバロウぜ!!」
何をどう頑張るのかよく分からないが、いろいろ大変なんだと力説された。
その後、新一年生が視聴覚室に集められて、パート決めをすることになった。
先輩がそれぞれの希望を聞きつつ、定員を超える希望者がいるパートは経験者が優先され、
残った枠はジャンケンで決める形だった。
俺は当然、サックスを希望。
定員が3名のところ、経験者が1人。残り枠は2名。希望者は俺を含めて4人。ジャンケンだ。
いざ、ジャンケンで勝負をするとなった時、妙な視線を感じた。
なんだろうと思って見ると・・・高宮さんだった。
高宮さんはサックスの経験者らしく、すでにサックスパートになる事が決まっている様子だった。
よくワカランが、なんかジッとこっち見てる…。体験入部の時と言い、一体なんなんだ…。
結果、ジャンケンに負けてしまい、サックスパートに入ることはできなかった。
俺がジャンケンに負けたのを見ると、高宮さんは何か知らんが俯いて、そのまま体ごと向きを変えてしまった。
さて、サックスパートに入ることしか考えていなかった俺は、そのまま顧問の先生に呼び出された。
坂吉先生「翔はピアノを弾けるらしいな」
『(なんで下の名前呼び…?そしてピアノ情報はどこから!?)は、はい…』
坂吉先生「そうか、それじゃパーカッションに入ってくれ」
・・・パーカッション!!
パーカッションは打楽器パートのことだ。
何を隠そう、中学の頃にブラスバンド部を諦めた原因が、まさにパーカッションだった。
中学の頃、ブラスバンド部に仮入部した俺は、いきなりパーカッションに連れていかれた。
そこで見たのが、ドラムセットだった。
あまりにも巨大な楽器。どんだけたくさん太鼓があるんだ?シンバルもいっぱい…
こ、こんなもん、どうやって演奏するんだ…!?
それが怖くなって、俺はブラスバンド部を諦めたんだ。
そんな理由で?と、他人からバカにされそうだから誰にも言っていないが…
ここへ来てまたパーカッションとはなぁ。
何か腐れ縁でもあるのかもしれない。
あの時は中一で、まだ自分自身が小さかったこともある。
今なら大丈夫じゃないか。
そう考え、俺は「わかりました。よろしくお願いします。」と先生に伝えた。
パート決めが終わった後、各楽器の練習部屋へと移動することになった。
パーカッションの部屋に入ると、これまた強烈な先輩が二人いた。
風間壮太(カザマ ソウタ)先輩と、有栖川莉音(アリスガワ リノン)先輩だ。
とりあえず今日の日記は、これくらいにしよう。
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