【第一話】1年目の4月11日

フリーノベル『公開設定を間違えた件について』

今日から日記を書くことにした。

といっても、日記帳を買って書くのではない。

こうやってSNSに書いていくことにする。

非公開にしておけば自分以外は読めないし、スマホで書けるのも、忘れっぽい自分としては都合が良い。

さて…必要ないと思うけど、将来これを見るかもしれない自分のために、現状について書いておこうと思う。

これを書いている今は、高校一年だ。

中学までは中高一貫の男子校だったが、アレコレとやらかして、県立高校を受験し直した。

まぁ、中学の頃のオレはアホだったな…と思う。いや、アホなのは今も変わらないか…。

そんな訳で本題に入ろうと思う。

日記を書こうと思ったきっかけは、西城怜奈という女子。

高校の入学式も終わり、クラス分けの発表も終わり、オレは自分の教室へ向かった。

1年1組だ。

自分の席は、可もなく不可もなく、教室のほぼ真ん中。

誰か知っているヤツはいるかな…と思っていたら、「あ、翔じゃん!!」と声を掛けられた。

誰だろうと思って見たら、同じ小学校だった友人、橋本だった。

橋本「お前、私立中学じゃなかったっけ?!」

『そうだけど…ちょっとワケあって、高校受験したんだよ』

橋本「中高一貫を受験して高校も受験って、アホじゃん!」

『いや、まぁ、いろいろあったんだよ…』

橋本「まぁいいや!お前と同じ学校で良かったよ!また仲良くしようぜ!」

『おう、こっちこそ、またよろしくな』

そんな友人との再会を喜んでいたら、教室の前の扉が開いて、4~5人の女子グループが入ってきた。

高校初日からグループ作れる女子のコミュ力、どうなってんだよ…と見ていたら、

橋本が「あいつらも小学校、同じだっただろ」と。

言われてみれば、なんとなく記憶があるような…。

だけど、ほとんど話すことがなかった女子グループだ。

まぁ、関係ないか…と思ってたら、「あ…翔くん!?」と誰かが声を上げた。

けっこうデカい声で、普通にビクッてなった。

え?と思って見てみたら、声の主はさっきの女子グループの中にいた一人・・・。

ニコニコしながらこちらを見ている。

あれは…確か、西城怜奈さん…

・・・ってか、この人なんでオレの名前を知ってんだ?

ちょっと頭が混乱して固まっていたら、西城さんはそのまま笑顔で手を振って、また女子グループとの会話に戻っていった。

その後、思考停止していたら、

橋本「お前!西城さんと仲良かったのか!?」

『え?あ、いや、全然…』

橋本「ウソつくなよ!なんで下の名前呼びなんだよ!どう見たって仲良いだろ!!」

『お、落ち着けって。オレも意味わかんないんだよ…』

橋本「すっとぼけんなよ!名前呼びだぞ!あの西城さんが名前呼びだぞ!?」

『いやマジで…オレも意味わかんないんだって…』

橋本「翔ぉぉぉ~!お前、いつから俺に隠し事するような人間になっちまったんだよぉぉ~~!!」

『だから落ち着けって・・・っつーか、西城さんと話したことなんて一度もないんだよ・・・』

橋本「手まで振ってもらってぇぇぇ~~!!うわぁぁぉぉ~~!!!」

橋本・・・小学校時代から全く変わってなかった。面倒くさかったな・・・根は良いヤツなんだけど。

それはそうと西城怜奈…

オレの学年で一番の美人だと言われていた女子だ。いや、学校で一番とも言われていたと思う。

橋本の話によると、

成績優秀でスポーツ万能。誰にでも親切で明るく、優しい性格らしい。

橋本「西城さんって、めちゃくちゃ胸デカいんだぜ!」

『いきなりゲス発言だな』

橋本「中学の頃、男子だけじゃなく先生にもガン見されてたな」

『クソ教師だな』

橋本「体育やプールの授業は、天国だったぜ…」

『お前…いつからそんなクズ野郎になったんだよ…』

そう言えば小学校6年生の頃、こんな事があった。

橋本「なぁ翔、西城さんって知ってるか?一度、見に行ってみようぜ!」

『見に行くって…パンダかよ。オレはいいよ。一人で行けよ。』

橋本「そう言わずに!なぁ、頼むよぉ~」

『女子を見に行くって、何なんだよ…』

なんて言って橋本に引っ張られて、違うクラスだった西城さんを見に行ったことがある。

でも結局、どの女子が西城さんなのか分からず仕舞いだったんだよな。

橋本は途中でどっかに消えるし…

西城さんって、名前だけは聞いたことがあったけど、小学校では同じクラスになった事が一度もなく、

顔だって、小学校を卒業してから卒業アルバムを見て知った。

そんな西城さんが、なんで俺の名前を知っていたんだろう?

知っているのも謎だし、声を掛けてきたのはもっと謎だ…。

まぁ、今日の日記にはこれくらいにしよう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました