【第五話】1年目の4月17日

フリーノベル『公開設定を間違えた件について』

今日はいろいろと大変だった。

まず、パーカッションの部屋へ行った途端、

風間先輩&有栖川先輩「うおおおーーー!!!!オトコじゃぁぁーーーーー!!!」

『え!?ええ!?』

風間壮太(カザマ ソウタ)先輩と、有栖川莉音(アリスガワ リノン)先輩だ。

パーカッションは、ドラムセットやティンパニなど大きな楽器が多く、男手を必要としてたらしい。

有栖川先輩「しかもショーポン、ピアノ弾けるんだって!?すっげー!!」

『(ショ!?ショーポン!?)あ・・・いや、その』

風間先輩「いやーーーオトコは助かるな!!俺は風間!今日からよろしくな!ショーポン!!」

『あ、はい…よろしくお願いします…』

有栖川先輩「そんなキンチョーしなくていいよぉー!ウチら、気楽にやってっからさぁ!」

『いや、えっと…ショーポンっていうのは…?』

有栖川先輩「え?ショーポンはショーポンだよ。」

『そ、それって…?』

風間先輩「ショーポンはショーポンのニックネームだ!」

『お、オレの?』

有栖川先輩「ショーポン!基礎練習しようぜ!教えてあげるからこっち来な!」

『あ、はい…』

なんてニックネームだ…。

ってか、なんかイロイロ意味不明だった。

後から聞いたのだが、顧問の坂吉先生から、

「律音翔という男子生徒がパーカッションに入ることになった。ピアノが弾けるらしい。」

と伝言があったそうだ。

それで、風間先輩と有栖川先輩で「ショーポンって呼ぼう!」と決めたとか…。

マジか…。

帰りは、橋本といろいろ話しながら帰った。

何でも中学時代の橋本は、ブラスバンド部で部長と学生指揮を兼任していたらしい。

橋本は「大変な役は全部、男子に押し付けられる!」と、ちょっと怒っていたけど、

実際、部長と指揮者を兼任してたなんて、すごい事だよな。

流行りのポップミュージックはもちろん、クラシック音楽にもめちゃ詳しくて、ちょっと橋本を見直した。

…が、

橋本「パーカッションの有栖川先輩って、めっちゃ美人だよな!」

『…前言撤回だな』

橋本「スラっとしててクールだし、スカートめちゃ短いし…良いなぁ、翔は。」

『相変わらずのクソ野郎っぷりに、安心感すら覚えるわ』

橋本「トランペットの先輩、全員めっちゃ怖えんだよ…すっげー上手いしさぁ」

『そう言えば部長って、トランペットの先輩だよな』

橋本「そうそう、部長めちゃくちゃ怖えんだよ…練習メニューも鬼畜だし…」

『ガンバ―』

橋本「棒読みじゃねぇかぁ!マジで怖いから!ああーー、オレも有栖川先輩の生脚見ながら練習してぇよぉぉ~~!!!」

『なんでそんなクソ野郎発言がポンポン出てくるんだよ…』

橋本は相変わらずこんな調子だ。

そうそう、それともう一つ今日は書きたい事がある。

例の西城さん。

なんでオレの名前を知っていたのかは未だに謎のままだが、剣道部に入ったらしい。

吹奏楽部と剣道部は、練習場所が一部、重なり合ってることもあって、

クラブ活動の時にたまに西城さんを見かける。

剣道部って、前掛け(?)みたいな所にデカデカと名前が書いてあるから、顔が面で見えなくても誰か分かるんだよな。

で、オレが「あ、西城さんだ」と思って何気なく見たら、どうやら向こうも気付いたのか、

全身フル装備のまま手を振ってくれた…

なんか…シュールだったな。

とりあえず今日はこれくらいにしよう。

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